内視鏡検査

当院では内視鏡を用いて、犬・猫の消化器疾患の検査・診断を行っています。
内視鏡検査では、他の方法では観察することが出来ない、消化管の内仰を直接目で見ながら検査をすることが出来ます。
また、病変部位を特定することが可能で、その部位から組織学検査による診断のため組織サンプルを得ることが出来ます。
誤った飲み込んでしまった異物も食道や胃から摘出することが出来ます。

◎内視鏡検査の実施には、全身麻酔が必要となりますが、お腹を開けて行う手術とは異なり、痛みも体への負担も最小限です。
 検査の翌日には退院が可能で、食事も通常通りにとることが出来ます。
◎慢性嘔吐や下痢、食欲不振、体重減少などの症例には内視鏡検査が大きな役割を果たしています。

■ 消化器系(口腔、食道、胃、上部消化管、下部消化管)

・消化器系内視鏡検査の適用。
・食道:吐出、嚥下困難、過剰な流涎、食欲の変化。
・胃:悪心、流涎、嘔吐、吐血、メレナ、食欲不振、慢性の間欠的な嘔吐、血液の混じる嘔吐。
・小腸:嘔吐、下痢、吐血、メレナ、食欲の変化。
・結腸:慢性大腸性下痢、便秘、しぶり、排便障害、固形便に伴う血便 。

  • 食道

  • 小腸

■ 胃腸管内視鏡の応用

  • 異物除去

    バイオプシー

  • 治癒過程の追跡

    狭窄部位の確認

  • 経皮的胃チューブ装着

    その他

症例1

ゴールデンレトリバー(メス・9歳齢)

主訴:食欲低下、嘔吐、体重減少。

内視鏡検査所見:

胃の小弯~幽門部に潰瘍とみられる粘膜の出血と陥凹部位あり。
幽門洞を占拠するマス病変を認めた。
診断:胃癌、慢性肥厚性胃炎
  • 幽門洞入り口

  • 幽門洞

症例2

ミニチュアダックスフンド(メス・9歳齢)

主訴:慢性的に便に血液が付着する。

内視鏡検査所見:

直腸粘膜の不規則な隆起、出血を認めた。
診断:大腸腺癌
  • 横行結腸

  • 下行結腸

  • 直腸

  • 直腸

症例3

ミニチュアダックスフンド(オス・1歳齢)

主訴:慢性間欠性嘔吐、空腹時嘔吐。

内視鏡検査所見:

胃角、幽門洞入り口に軽度のびらん、十二指腸粘膜の充血、脆弱化、不整形の隆起を認めた。
診断:リンパ球性形質細胞性腸炎
  • 胃体部

  • 小角ー幽門洞

  • 十二指腸

  • 十二指腸からバイオプシーサンプルの採取

症例4

雑種猫(メス・11歳齢)

主訴:食欲のむら、体重減少、間欠的な嘔吐、下痢。

内視鏡検査所見:

粘膜にわずかに点状出血を示す部位 有り。粘膜の軽度肥厚。
診断:慢性十二指腸炎
  • 食道

  • 幽門

  • 十二指腸の盲目的バイオプシー

下部内視鏡検査
  • 結腸

  • バイオプシー

症例5

ラブラドールレトリバー(メス・2歳齢)

主訴:リードがなくなっている。

内視鏡検査所見:

多量の異物(噛み砕かれたリード)を確認するが、量が多く、内視鏡による摘出を諦めた。
診断:胃内異物あり
  • 胃内異物=リード

胃内異物摘出中
  • 胃内異物=リード